電動キックボードに乗るなら保険に加入したほうがいい?
公開日:2022/11/25 最終更新日:2023/01/13
電動キックボード(電動キックスケーター)は、2017年以降、世界的に急速に普及が進んでいるもので、日本国内でも徐々に広がりを見せています。実際に購入したいけど、その前に詳しく知りたい!という方向けに今回は電動キックボードがどのようなものか、自賠責保険や自転車保険でカバーできないことについてまとめます。
電動キックボードは具体的にどういうもの?
保安基準に適合した構造及び保安装置を備えた電動キックボードは具体的には「原動機付き自転車」すなわち、原付と同じものとして扱われることが多いです。そのため、免許はもちろんのことヘルメットの着用義務があり、ナンバープレートもつけなければなりません。走行する場所も車道に限られます。
また、電動キックボードの所有者は軽自動車税の申告・納付義務があります。加えて、片側3車線以上の多通行帯道路では二段階右折をしなければなりません。搭載するモーターを使わず、足で地面を蹴って走行する場合も原付の運転と同じとみなされるため、歩道の通行はできず、ヘルメット着用の義務もあります。
2022年4月、衆議院で道路交通法の改正案が可決されました。これにより最高時速20km以下の電動キックボードは特定小型原動機付き自転車に分類され、免許が不要となります。さらに、ヘルメットは義務から任意へと変更となることや、部分的に歩道の走行が可能となります。
しかし、この改正が施行されるのは1~2年後と考えられます。改正が施行されるまで、現行の基準が適用されるので注意しなければなりません。また、改正後もナンバープレートは必要であり、軽自動車税の納付義務も継続するので注意しましょう。
自賠責保険に加入する義務があるので注意
電動キックボードは原付と同じく車両とみなされるため、自賠責保険に加入する義務があります。自賠責保険とは、交通事故による被害者救済を目的とした保険で、対人賠償にあてられるものです。
自賠責保険の金額は離島や沖縄県を除き24か月で8,850円です(2022年現在)。追記(年によって変わることがあります。)自賠責保険に加入していると、3,000万円を限度額とした保険金が支払われ、限度額を超えた分については各自で加入する任意保険から支払われます。
自賠責保険に加入していなかった場合、事故を起こさなかったとしても1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。自賠責の証明書を保持していなかっただけでも30万円以下の罰金が課せられます。
また、無保険で事故を起こしてしまったときは交通違反となり、違反点数6点が付与され、即座に免許停止の処分が下されます。電動キックボードといえども、自賠責加入義務があり、加入していないだけで罰則の対象となることは覚えておかなければなりません。
増加する電動キックボードの事故
電動キックボードは、その手軽さから人気となり利用者が増加しています。その一方、事故数も増加傾向にあります。2022年8月末の段階で、電動キックボードの人身事故や物損事故は80件を数えていますが、この数字は前年の事故件数68件を上回るものです。
2022年9月25日には、東京中央区のマンションで電動キックボードを使用中に駐車場の車止めに衝突して、52歳の男性が亡くなる事故が発生しました。このキックボードは民間の事業者からレンタルしたものです。
このように、電動キックボードの普及率が高まると事故の発生数も増加します。交通ルールを守った利用をすることで、事故を未然に防ぐ必要があるのです。
自転車保険ではカバーできない
電動キックボードに関する保険には自賠責保険と任意保険があります。加入義務がある自賠責保険は3,000万円が限度であるため、それ以上の賠償は任意保険で行わなければなりません。任意保険の一つに自転車保険(個人賠償責任保険)がありますが、電動キックボードは車両扱いであるため適用範囲に含まれません。
電動キックボードの事故に対応するためには、原付を対象とした保険や電動キックボードを対象とした保険に加入しなければなりません。これらの保険であれば、対人賠償が無制限と設定されているため、万が一の事故の際にも保険が適用されます。
まとめ
今回は電動キックボードと保険についてまとめました。公道走行のできる電動キックボードは法律上、車両に分類されるため原付と同じ扱いをされます。そのため、自賠責保険の加入義務が生じます。自賠責保険に加入していなかった場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
しかし、自賠責保険はあくまでも最低限のものであり、実際に事故が発生すると自賠責保険では補いきれない賠償をしなければならないかもしれません。そのときに助けてくれるのが任意保険です。電動キックボードが身近になればなるほど、任意保険に加入して安心して利用する必要が高まるといえるでしょう。